「まちのくすりやさん」
Concept|コンセプト
既設建物は各務原の旧道沿いに建つ薬局である。地元では「まちのくすりやさん」として地域に根付いている。
この薬局の敷地西側には新たに国道が計画される予定であり、その計画によって敷地の一部が接収されるため増改築する運びとなった。
計画としては既設建物を内側に取り込んだ形となった。というのも、それまで店舗は南面道路にのみ面する格好だったが、西側に道路が通ることにより交差点角地に店舗が建っている状態に変化する。そのため南側、西側の2本の道路に対して顔としてのファサードをもつ建物としなければならなくなった。
南側、西側の両面にファサードの連続性をもたせるため緩やかなカーブラインを持った外観とした。そうすることにより南・西どちらから眺めても建物自体に奥行きの感じられるデザインとした。
1F店舗部分の前面(南・西面)はピロティーとしその部分を来客用の駐車スペースとした。店舗が奥まってしまうが、「地元に根付いた薬局」であり、ドラッグストアーではなく「調剤薬局」であるため店舗経営としては問題はないと考えた。
2Fが住宅部分になっており、店舗部分に生活感が出ないデザインを考えなければならなかった。また店舗イメージというものも大事であり、すっきりとした外観、国道交差点という悪条件でも汚れにくい材質、一度目にしたら忘れにくいデザインといった様々なことを考慮してアルミの縦リブパネル貼りとした。
薬局を営業しながらの増改築工事となるため、設計者にとっても工事施工者にとっても、また施主にとっても大変難しい工事となった。
工事を3工期に分け、工事と引越しを繰り返す形ですすめた。
既設部分と増築部分とのエキスパンションジョイントの収まりや雨仕舞など、非常に難しい工事であり現場監督や職人さんたちとともに考え知恵と工夫をしぼって完成した。