「ガラスブロック障子+和風トイレ」=「あかりのあるトイレ」
Concept|コンセプト
敷地は牧田川に架かる橋の際にある空き地である。そこに町事業として公園施設整備計画がある。計画の中で必要性の高い便所を先行して計画することになった。
上石津の風景にとけ込む和風の建物にするため木造軸組とし屋根には日本瓦を葺いた。そして柱・梁の木造部は全て黒くし、外壁はしっくい調吹き付け塗装とした。木部と壁との黒白の色調により和風の外観を強調させた。さらに「障子」を用いて和風を表現した。
「障子」は、昼間は内部空間に間接的な光をもたらし「あかるさ」と陰影により人の気配を伝え、夜間は外部に中からの暖かな「あかり」を与え内部の気配を感じさせた。『障子』とは、『気配』を伝える手法の一つである。また「あかり」とは辞書によると『あたりを明るくするもの』とある。この「あかり」を和風で表現する手法は「障子」であるといえる。
外部公衆便所という用途上、「障子」をイメージさせるものとして「乳白色のガラスブロック」を用いた。それにより、閉塞感に陥りやすい狭い空間に開放感をつくりだすことを狙った。また、夜間においては行燈的な「あかり」効果で建物自体を演出した。
この設計をするに当たり「まず女性が安心して利用できる、あかるいトイレを」と依頼があった。この要望から計画に当たっては誰もが気分良く使用できる「トイレ」となるようデザイン、使用材料、設備、使用開始後の維持管理方法等を検討した。
くらい → あかるい
白壁とし明るいイメージとなった。障子の「あかり」効果で建物内外をあかるくした。
こわい → あんしん
「あかり」効果により外から内部の「気配」が分かるようにした。また、各ブースには警報ブザーを設置した。
きたない・くさい → きれい
敷地のある一之瀬地区は最近までくみ取り便所が主流であった。が、下水道整備が進み「水洗便所」とすることができた。
清掃が比較的楽になるよう、また汚臭の原因の一つである目地が少なくなるよう検討した。そこで、便器周りの床には汚れが付きにくく落ちやすい光触媒加工のしてあるセラミックタイルを使用した。サイズも目地が少なくなるよう大判のものとした。
地元住民の集まりである「リアリティー花の里」によりほぼ毎日、朝晩2回の清掃がおこなわれる。地域の人々の理解と協力は「公衆便所」の維持管理には必要不可欠である。